7/15、サイボウズ東京オフィスにてイギリスの子どもアドボカシー研究の第一人者西イングランド大学のジェーン・ダリンプル先生と大分大学の栄留里美先生をゲストに招いた講演会とワークショップを開催しました。 講演は160名、ワークショップは90名と多くの方にご参加いただきました。
冒頭、ジェーン・ダリンプル先生は、「ANYTHING‘S POSSIBLE」という歌の歌詞を紹介し「何だってできる、トンネルを抜ければ光がある、人生はよりよいものにできる。物事を否定的にとらえたり過去にこだわったりすることをやめて、自信と強さをもって前に歩もう」と力強いメッセージで講演をスタートしました。
以下、講演で語られたことの一部を抜粋してご紹介します。
イギリスでは、1997年、施設での虐待事件を機に、社会的養護の子どもの声が聴かれ、子どもが自分に関する決定に参加できるようにしようという運動が始まりました。
その結果、子どもの権利は前進し、若者が独立アドボカシーにアクセスすることを支える法律とガイダンスが定められました。いまでは権利侵害を感じた子どもは、子どもアドボケイトに意見表明を手伝ってもらったり、異議申立てカードを記入し「社会的養護下の子ども評議会」を経て「行政養育委員会」から回答を得ることができます。「社会的養護下の子ども評議会」の活動は、子どもたちの自己開発にもつながります。
サービス利用者とケア提供者が経験する多くの問題の根本的な原因は制度的・構造的なものです 。ケアをより効果的なものにするためにも子どもの声をきくことは重要あることを大人たちが理解するようになりました。2000 年の虐待事件からは、すべての子どもたちに注意を払うことへと焦点が転換しました。
大人は子どもたちの人生において強大な力をもっています。ときには間違ってその力を行使することがあります。子どもたちの声が尊敬をもってきかれ、発言に価値があるということを確実にするため、子どもアドボケイトは、学校や児童福祉サービス提供者から独立した存在として子どもたちに関わります。子どもの視点を支援し、子どもが発言できるよう環境を整え、決定のプロセスに参画できるようにします。
イギリスの子どもの状況は20年で大きく変わりましたが完璧ではありません。家庭生活に介入することの難しさや子どもたちが置かれている状況のどうしようもなさに悩むときもあります。
子どもアドボカシーを進めるにあたって、日本とイギリスの文化が違うことは考慮にいれないといけませんが、文化は互いに学びあえます。イギリスではニュージ―ランドのマオリ族のやり方に学びました。
イギリスでは、アドボケイトは、子どもたちが意見を出すのを支援するために必要だとみなされています。アドボケイトは他の大人よりも優れているとかそういうことではありません。立ち位置が違うのです。アドボケイトの役割は、その子を守る決定に役立つ、その子の意見を考慮するということです。平等と社会正義を実現する、権利擁護がアドボカシーです。ソーシャルワーカーも、教員も、親も、誰にも 自分なりの優先順位がありますが、アドボケイトは子どもを最優先することに立ち戻らせてくれる存在なのです。
午後のワークショップでは、キャンディを使ったアイスブレイクやカードの絵を形容詞で説明するワーク、子どもとアドボケイトそれぞれになりきって演じるペアワークを行いました。
子どもの年齢や経験、個性によって表現力や語彙も異なります。子どもと打ち解け信頼関係を築くこと、子どもが伝える断片的な情報から背景を推しはかり願いをくみ取ることを疑似的に体験しながら、感じたことを共有し互いに学びあいました。
講演の模様は、TBSやテレビ朝日の取材も入り昼や夕方のニュースで報道されました。